大切なパートは?

Tさんが発見した「シャコンヌ」の魅力的な低音
Tさんが発見した「シャコンヌ」の魅力的な低音

 生徒のTさんは現在、パーセルの「シャコンヌ」に取り組んでいます。バロック時代の曲も数曲仕上げ、多声音楽にもだいぶ慣れてきたかな、とお見受けしていたのですが、「この曲、あまり好きじゃありません」と衝撃の発言。装飾音符と付点のリズムが難しくて、練習をしていても面白さが感じられないそう。

 ところが次のレッスンでは、「この曲、好きになってきました。2分音符だった低音が付点2分音符になると浮力が出てきて、いいですよね」と明るい表情で伝えてくれて、こちらもうれしくなりました。

 

 先日、JESフォーラム〔千里jetの各勉強会の活動報告の場〕があり、そこで、ヴィオリラ〔弓で弾いたりピックで鳴らしたりする大正琴のような見た目の弦楽器〕勉強会のアンサンブル演奏を聴きました。曲は、マスカーニの間奏曲(『カヴァレリア・ルスティカーナ』より)。全体がバランス良く調和しているのに、5つのパートがそれぞれ際立って聞こえる立体的な演奏で、心洗われるようでした。 

 ヴィオリラ勉強会メンバーの演奏と比べると、自分の演奏は、3次元のものを無理矢理平面に入れたようなゴチャッとした感じになっているな、と反省しました。そして、メロディとそれ以外の声部のバランスを取りつつも、どのパートの音も疎かにせず、心を込めて弾こう、と思いました。

 

 すっきりと立体的な演奏をするためには、Tさんのように、メロディ以外のパートの動きに魅力を発見できると良いと思います。繰り返し聴いたり、弾いたりしている内に、曲のあちこちに魅力を感じられるようになると良いですね。

 

 

※ ご参考までに、ピアノ曲に関するブログです。

  → 「絵画的に見る楽譜」(ブルグミュラー「タランテラ」)

  → 「シャープとフラットの話」(カバレフスキー「ワルツのように」)

  → 「歌うように弾く」(マルティーニ「愛のよろこび」)

  → 「サンタクロースのお爺さん?」(シューマン)

  → 「ガボットにチャレンジ」(ヘンデル)

  → 「セキレイの『ボン』改め『トン』」(ブルグミュラー)

  → 「表現としてのテンポ」(ブルグミュラー「やさしい花」)

  → 「『スズメに逃げられない』弾き方」(ベートーヴェン「エリーゼのために」) 

  → 「それぞれの表現」(グリーグ「夜警の歌」)

  → 「強拍 vs アクセント」(チャイコフスキー『子どものアルバム』より「ワルツ」) 


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