調べと言葉

赤〇が強拍で、アイン、アイン、ラインが軽やかな弱拍
赤〇が強拍で、アイン、アイン、ラインが軽やかな弱拍

 大人の生徒さんから、シューベルトの「野ばら」を弾きたい、とのリクエストが出たので、久々に高校時代の音楽の教科書を開きました。そこに載っていたのは、歌+ピアノ伴奏の楽譜だったので、ドイツ語(カタカナ発音の)で「野ばら」を歌いながらピアノ伴奏を弾いてみました。

 

 そこで気づいたのは、この曲が言葉の調べのままに作られているということです。

 出だしは、ポルカのような伴奏で、イチ、ニ、と強拍-弱拍がくり返されるリズムが、歌詞の韻律とぴったり合っています。

 また、均等に2分される「8分音符+8分音符」のリズムが続く中で、2カ所だけ「付点8分音符+16分音符」のの伸びやかなリズムが出てきます。そこは、「バラを近くで見ようと速く走る」の「速く」と、「多くの喜びをもってそれを見た」の「喜び」が歌われるところです。速くバラのところへ行きたい、とか、近くでバラを見てうれしい、とか、心が大きく動くところをたっぷり歌うように作曲されています。

 

 私はドイツ語を勉強したことがないので、カタカナの発音で歌っただけですが、それでも、言葉の調べにのって、自然と音楽が生き生きしてくるのを感じました。

 作曲者の母国語でメロディを歌うことは、演奏の大きなヒントになります。生徒さんにも、ピアノ・ソロの演奏の前にドイツ語で歌うことうをお勧めしようと思います。

 


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