去年の夏、暑すぎる!と思っていましたが、今年はそれに輪をかけての酷暑です。そこで、何とか涼しくなる手立ては無いかと風鈴をヒントに考えてみました。
風鈴の音の特徴は、①金属などの硬いものを打つ音、②減衰する音(「ビー」でなくて「リーン」と遠ざかっていくような)、③高音域の音、④ほんのり不協和音、⑤音量は控えめ、といったところでしょうか。
また、風が吹いて鳴る仕組みなので、チリンと鳴る→風が吹いて来る→涼しい、というパターンが記憶されて、風鈴の音を聞くだけで脳が涼しいと錯覚するのでしょう。
というわけで、風鈴の①~⑤の特徴を満たすものを考えました。
オルゴールなんてぴったりではないでしょうか。涼しい記憶を呼び覚ますような曲のものを選んでゼンマイ巻いて。
でも、我が家にオルゴールは無いし、実家にあったものも「うれしいひなまつり」と「ワルツィング・マチルダ」なので、涼しさはあまり感じられません。
などと思いを巡らせながらピアノを弾いておりましたら、あら、涼しげ。
ピアノの音も金属の弦を打つ減衰音です。打つのがフェルトを巻いた木なので、①は△くらいですが、②は満たしています。
涼しげだなと思ったのは、チャイコフスキー『四季』より「舟歌」の最後のところ。
デクレッシェンドしてppに至るので、音色に加えフレーズでも減衰しています。そして、高音域で、倍音がかすかに濁る短三和音、和音もアルペジオ(同時に鳴らすより控えめな音量になります)なので③、④、⑤もクリア。
さらに、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来すると言われる「舟歌」ですから、水の雫が跳ねるような音型もあって、涼しい記憶もバッチリ。
こんな風に涼を味わえる曲を弾けば、この暑さも何とかしのげるでしょうか。
ああ、秋風が、恋しい・・・